Coolief高周波治療
(クーリーフ)
変形性膝関節症に伴う慢性疼痛治療の新たな選択肢
Cooliefとは、慢性的な痛みを管理するための医療技術で、特に膝や腰などの関節における痛みの治療に使われるものです。正式には「冷却型ラジオ波治療法(Cooled Radiofrequency Ablation)」と呼ばれています。痛みの原因となる神経に働きかけて、その信号を遮断し、患者の痛みを軽減することを目的としています。
Cooliefの主な適応症
整形外科的な外科的治療の対象とならない変形性膝関節症に伴う慢性疼痛を有する患者のうち、既存の保存療法で奏効しない場合に適応になります。保険診療にて治療することができます。
Cooliefの仕組み
Cooliefでは、以下のプロセスを通じて痛みを軽減します
①ラジオ波エネルギーを利用して神経を温めることで、その神経が痛みの信号を脳に送らないようにします。
②独自の「冷却技術」を採用し、ラジオ波エネルギーの影響を広範囲に届けながら、周辺組織を保護します。
③この冷却技術により、より広い範囲の神経が治療でき、痛みの軽減効果が長続きします。
Cooliefの治療の流れ
Cooliefでは、以下のプロセスを通じて痛みを軽減します
①ラジオ波エネルギーを利用して神経を温めることで、その神経が痛みの信号を脳に送らないようにします。
②独自の「冷却技術」を採用し、ラジオ波エネルギーの影響を広範囲に届けながら、周辺組織を保護します。
③この冷却技術により、より広い範囲の神経が治療でき、痛みの軽減効果が長続きします。
ターゲットとする神経
Coolief* 疼痛管理用高周波システムは、超音波エコー下で左図の3 つの膝神経をターゲットに、変形性膝関節症に伴う疼痛治療を行います。診断用神経ブロックも同様のターゲットに対して行います。
Cooliefのメリット
手術を行わないため、体への負担が少ない。
治療後すぐに日常生活に復帰できることが多い。
多くの患者で6ヶ月から1年以上痛みが軽減することが確認されています。※
手術が困難な高齢者や、薬物治療の効果が限定的な患者にも適応可能。
※以下は海外でのCOOLIEF* 疼痛管理用高周波システムよる変形性膝関節症に伴う疼痛治療の臨床成績です。
本品を用いた151例、6ヶ月までの多施設ランダム化臨床試験および12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月までの長期的な有効性、安全性評価1, 2, 3
NRSスコア※
治療6ヶ月時のNRSに基づく膝関節疼痛が50%以上軽減した被験者の割合
・74% - Coolief疼痛管理用高周波システム群
・16% - 関節内ステロイド注射群
治療は、それぞれのベースラインと比較して50%以上のNRSスコアの減少によって示された痛みの軽減に有意差を認められた。
治療後12ヶ月時点で、65%のCoolief疼痛管理用高周波システム被験者群がNRSに基づく膝関節疼痛が50%以上軽減した
・85%の関節内ステロイド注射群が、治療後6ヶ月時点でCoolief疼痛管理用高周波システムへ移行した。
治療後18ヶ月、24ヶ月時点でNRSは、3.1 ± 2.7(n=25) および 3.6 ± 2.8(n=18) とベースラインに比べ有意に減少した。(p<0.0001)
※1ポイントのNRSは、「0」から「10」までのスケールで構成され、「0」は「痛みがない」、「10」は「想像できる最悪の痛み」を示す。
Oxford Knee Score:
OKS評価
治療6ヶ月時のNRSに基づく
膝関節疼痛が50%以上軽減した被験者の割合
ベースラインでの重度なOA評価
・67% - Coolief疼痛管理用高周波システム群
・33% - 関節内ステロイド注射群
治療6ヶ月時点での重度なOA評価
・5% - Coolief疼痛管理用高周波システム群
・37% - 関節内ステロイド注射群
治療後12ヶ月、24ヶ月時点でOKSは、47.2 ± 8.1(n=25) および 46.8 ± 10.3(n=18) とベースラインに比べ有意に改善した。(p<0.0001)
OKSは被験者の膝の機能を0から48点までのスケールに基づいて測定し、スコア値が増加するにつれて関節機能の重症度が低下する。
REFERENCES:
・Tim Davis, Eric Loudermilk, Michael DePalma, Corey Hunter, David Lindley, Nilesh Patel, Daniel Choi, Marc Soloman, Anita Gupta, Mehul Desai, Asokumar Buvanendran, Leonardo Kapural Prospective, Multicenter, Randomized, Crossover Clinical Trial Comparing the Safety and Effectiveness of Cooled Radiofrequency Ablation With Corticosteroid Injection in the Management of Knee Pain From Osteoarthritis: Reg Anesth Pain Med. 2018 Jan;43(1):84-91.
・Tim Davis, Eric Loudermilk, Michael DePalma, Corey Hunter, David A Lindley, Nilesh Patel, Daniel Choi, Marc Soloman, Anita Gupta, Mehul Desai, Elizabeth Cook, Leonardo Kapural Twelve-month analgesia and rescue, by cooled radiofrequency ablation treatment of osteoarthritic knee pain: results from a prospective, multicenter, randomized, cross-over trial: Reg Anesth Pain Med. 2019 Feb 16;rapm-2018-100051. doi: 10.1136/rapm-2018-100051.
・Corey Hunter , Tim Davis , Eric Loudermilk , Leonardo Kapural , Michael DePalma, Cooled Radiofrequency Ablation Treatment of the Genicular Nerves in the Treatment of Osteoarthritic Knee Pain: 18- and 24-Month Results, Pain Pract 2020 Mar;20(3):238-246. doi: 10.1111/papr.12844. Epub 2019 Nov 14.
注意点
・完全に痛みがなくなるわけではない:Cooliefは痛みを大幅に軽減するものですが、完全に取り除くものではありません。
・一部の患者には効果が薄い場合もある:痛みの原因や患者の体質によって効果は異なります。
・一時的な副作用:治療部位に一時的な腫れや痛みを感じることがあります。
まとめ
Cooliefは、慢性的な痛みに悩む患者にとって、手術に代わる有望な選択肢の一つです。具体的な適応や治療方針については医師にご相談ください。