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スポーツ整形専門外来 スポーツ整形専門外来

スポーツ整形専門外来

早期スポーツ復帰・早期社会復帰を目指して

当院では、レクリエーションレベルからトップアスリートレベルまで、患者さんのスポーツレベルに合わせた適切な治療を心がけています。また、スポーツ種目による障害・外傷の特殊性を理解したうえで、早期スポーツ復帰・早期社会復帰を1番の目的に治療を行います。

当院における治療について

当部門では、スポーツ障害・外傷に対して、リハビリテーション部とも連携し、まずは運動療法等の保存的治療で改善を目指し、手術以外に改善が見込めない場合には手術療法を行っています。保存的療法の際には、必要に応じてプライベートトレーニングによるコンディショニングを推奨(自費診療)したり義肢装具士による装具作成(保険適応)なども併用して最大限の治療効果を目指しております。
手術治療の際には、組織へのダメージを最小限にするために、関節内の処置に対しては関節鏡を用いて行います。関節鏡を用いた手術は、1cm程度の皮膚切開から内視鏡のようなカメラを関節の中に入れて行う手術で、小侵襲であるだけでなく、通常では見えにくい場所もきっちり観察して治療が出来る利点もあります。

主な対象となる疾患

前十字靭帯損傷

前十字靭帯(ACL)は、一度断裂すると自然治癒する可能性は極めて低く、手術療法が選択されます。手術は自分の腱を移植して前十字靭帯を作り直す再建術が一般的な方法で、手術の際には関節鏡を用います。
当院では、前十字靭帯損傷に対して、ハムストリング腱もしくは骨付き膝蓋腱を患者様の状況に応じて使い分け、また本来の靭帯付着部に腱を移植する解剖学的前十字靭帯再建術を行なっています。正確な再建手術を行うことが術後成績を良くする上でとても重要です。また、半月板損傷や関節軟骨損傷の合併損傷がある場合には同時に半月板や関節軟骨に対する処置も行います。半月板損傷については可能な限り縫合術を行いますが、損傷程度が強く縫合不可能と判断した場合には切除術を行います。
入院期間は約3-4週間となります。手術翌日から車椅子を用いて病棟内の移動は可能となり、慣れれば松葉杖歩行も可能です。

通常の前十字靭帯再建術リハビリテーションプログラム

  • 〜術後2週:膝関節装具(knee brace)固定、患肢免荷(体重をかけない)
  • 術後2週〜:可動域訓練開始、患肢1/3部分荷重(体重の1/3)開始
  • 術後3週:患肢2/3部分荷重(体重の2/3)開始
  • 術後4週:全荷重歩行開始
  • 術後3ヶ月:ジョギング
  • 術後4ヶ月:ダッシュ、ジャンプ
  • 術後5ヶ月:カット動作
    術後6ヶ月以降、状態を見ながらスポーツ復帰
  • 半月板損傷・軟骨損傷がある場合には、損傷形態・治療方法によってプログラムは変わります。

半月板損傷

半月板損傷に対して、保存療法にて痛みや引っかかり感が改善しない場合や、または損傷形態により保存療法では症状軽快が望めない場合には手術療法を選択します。手術療法には①半月板縫合術、②半月板切除術があります。
また、変形性膝関節症に伴っているものに関しては膝周囲骨切り術を行うことが症状の改善にもつながり、膝関節機能温存に適している場合があります。 詳しくはこちら

1. 半月板縫合術

損傷した半月板に糸をかけて縫合します。断裂形態によっていくつかの縫合方法があり、最適な方法を選択して縫合します。半月板は縫合した後治癒するまでに時間がかかるため、リハビリテーションおよびスポーツ復帰までに時間がかかります。

通常の半月板縫合術リハビリテーションプログラム

  • 〜術後2週:膝関節装具(knee brace)固定、患肢免荷(体重をかけない)
  • 術後2週〜:可動域訓練開始、患肢1/3部分荷重(体重の1/3)開始
  • 術後3週:患肢2/3部分荷重(体重の2/3)開始
  • 術後4週:全荷重歩行開始
  • 術後3ヶ月:ジョギング
  • 術後4ヶ月:ランニング、ダッシュ、ジャンプ
  • 術後6ヶ月以降、状態を見ながらスポーツ復帰
  • あくまでも目安ですので、損傷形態・縫合方法によってプログラム・スポーツ復帰時期は変わります。

2. 半月切除術

半月が損傷してから時間が経っている場合等には、半月板が変性して質が悪くなっていることがあります。変性した半月板は治癒能力が極めて低いため、縫合術を行っても治癒する可能性が低く、このような場合、通常は切除術が第1選択になります。
切除術を行った場合、術後数日から歩行訓練を開始し、術後1週程度で歩行が安定すれば退院可能となります。切除術は短期間で入院治療が済みますが、時間の経過とともに関節軟骨の損傷が進行し、長期的には変形性膝関節症に至る可能性があります。膝周囲骨切り術と併用して行う場合もあります。 詳しくはこちら

膝関節軟骨損傷

スポーツ中のけがなどで、膝関節の軟骨が損傷をおこすことがあります。損傷部位の軟骨が欠損することでスムースな関節運動が阻害され、痛みや関節に水がたまるなどの腫れを引きおこし、スポーツ活動や日常生活でも支障を来します。また、長期的には変形性膝関節症へ移行するリスクが高くなります。
保存療法(手術をしない)で経過をみることも状況によってはありますが、損傷の部分が大きかったり、大きな荷重がかかる部分であったりする場合には手術が必要になります。関節鏡で確定診断をつけた後、直ちに手術治療も行います。手術法には整復内固定術、マイクロフラクチャー法、自家骨軟骨柱移植術、自己培養軟骨移植術(JACC®)などがあり、患者さまに適した治療法を選択します。

自家培養軟骨移植術

2019年8月から、当院において自家培養軟骨による膝関節軟骨の治療が保険で受けられるようになりました。

自家培養軟骨移植術とは?

関節軟骨は、ヒザの動きを滑らかにしたり、ヒザにかかる負担をやわらげるクッションの役割を果たしています。軟骨組織には血管がなく、傷を治すための有効な細胞が少ないため、事故やスポーツで軟骨が欠けたり、剥がれてしまうと、自然に治癒するのは難しいと考えられています。

自家培養軟骨移植術とは?
自家培養軟骨移植術とは? 自家培養軟骨移植術とは?
欠けた軟骨の治療法の中で、近年注目されているのが「自家培養軟骨移植術」です。自家培養軟骨移植術にもいくつか種類がありますが、日本で公的医療保険の対象となっているのは、「外傷性軟骨欠損症」または「離断性骨軟骨炎」で、欠けた軟骨の面積が4㎠以上の患者さまです(変形性膝関節症は治療できません)。この治療法は平成24年7月に厚生労働省により承認され、平成25年4月より公的医療保険で受けられるようになりました。

「自家培養軟骨移植術」は、患者さまご自身の細胞を使うので、拒絶反応がきわめて少ないこと、少しの軟骨から細胞を増やすことができるので、広い範囲の軟骨が欠けた場合により有効であるなどのメリットがあり、治療後はヒザの痛みが和らぐことが確認されています。
  • 患者さんご自身の軟骨組織を少量採取。(関節鏡での手術)
    患者さんご自身の軟骨組織を少量採取。(関節鏡での手術)
  • アテロコラーゲン(コラーゲンの一種)と混ぜて培養し、「自家培養軟骨」を作製。。(関節鏡での手術)
    アテロコラーゲン(コラーゲンの一種)と混ぜて培養し、「自家培養軟骨」を作製。
  • 自家培養軟骨を軟骨が欠けたところに移植。
    自家培養軟骨を軟骨が欠けたところに移植。
  • 移植した自家培養軟骨が外れないよう脛骨から取った「骨膜」でふたをして縫合。
    移植した自家培養軟骨が外れないよう脛骨から取った「骨膜」でふたをして縫合。

リハビリテーションについて

移植が終わった約1~2週後からリハビリテーションがはじまります。ゆっくりとヒザを動かしていき、4週後から少しずつヒザに体重をかけていきます。
6週後には全体重をかけるトレーニングをします。ただし、軟骨の欠けた場所や大きさなどにより、リハビリテーションのスケジュールは変わります。

リハビリテーションについて

反復性膝蓋骨脱臼

膝を捻った時に膝蓋骨(おさらの骨)が大腿骨から外れる(脱臼)ことを膝蓋骨脱臼といいます。
脱臼しやすい原因がある人は不安感が強く日常生活でも脱臼(反復性脱臼)することがあります。脱臼を繰り返すと膝の軟骨が損傷して骨が変形してしまうことがあります。保存療法は装具を用いて脱臼を予防しますが、装具で不安定性を確実に抑えることは困難とされており、スポーツ活動の継続は勧められていません。再脱臼予防には手術療法が有効な治療とされており、様々な治療法がありますが、自分の腱を移植して損傷した内側膝蓋大腿靭帯を作り直す(内側膝蓋大腿靭帯再建術)方法を行うことが多いです。