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膝関節温存外科部門

高位脛骨骨切り術

膝のO脚変形のために膝関節内側に偏った過量なストレスを、自分のすねの骨(脛骨)を切って少し角度を変えてあげることにより、比較的きれいな軟骨の存在する外側に移動させてあげる手術です。患者様自身の膝関節が温存できますので、正座が引き続き可能で、スポーツや農業等の仕事への復帰が可能であった患者様も多くおられます。また、手術時に関節鏡を用いて関節内も確認し、半月板や軟骨の処置も同時に行うことができます。従来この手術は術後の骨が癒合するまでの間活動制限が長くなるため、入院期間が長くなり社会復帰に時間を要するという弱点がありました。しかし、近年新しい手術方法と手術器具の開発が進み、これまで最大の欠点であった術後の荷重制限の期間が大幅に短縮され、それに伴って入院期間の短縮できるようになりました。また、当院では主にスポーツ整形外科で行う関節鏡視下手術の経験を生かして、関節内の半月板や軟骨の修復にも積極的に取り組み、さらに長期の関節温存を目指しております。
当院では高位脛骨骨切り術後翌日から車椅子移乗が可能となり、術後1週間から荷重をかけて歩く練習を始めます。術後2-3週から全部の体重をかけて歩く練習をして、3-4週程度で杖をついて退院可能です。
骨切り術は適応を守って適切に行われれば、今の痛みを軽減させるだけでなく、長期的な関節温存にもなるため非常に有効な治療法です。ただし、適切なタイミングを逃すと骨切り術を行えなくなることもありますので、早めの専門医受診をお勧めします。
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高位脛骨骨切り術(HTO手術)の相談・手術を行っている医療施設として当院が掲載されています

下記よりご覧ください
https://hiza-itami.jp/

高位脛骨骨切り術の利点と欠点

(利点)
自分の膝を温存できる
膝の関節内構造は温存されますので、本来の膝関節機能(関節安定性、捻りや衝撃に対する耐性)が温存されます。このため、人工関節置換術では制限されているしゃがみこみや正座、スポーツ活動も可能になります。

膝の深屈曲を制限しない
手術前の膝の動きが良かった方は、術後正座やしゃがみこみも可能ですし、制限はありません。ただし、手術前に膝の動きが悪くて筋肉や関節が拘縮してしまっている場合には術後も動きの制限が残る可能性があります。
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スポーツ活動や膝をよく使う仕事も可能
レクリエーションレベルのスポーツや膝をよく使う仕事(しゃがみこみ、長時間歩行、重い荷物の持ち運び)も可能です。ただし、術前に筋力が低下してしまっている場合には、復帰までに十分な運動訓練(ストレッチ、筋力強化など)が必要です。

損傷した膝の軟骨・半月板が修復されることもある
最初の手術の際に傷んでいた関節軟骨や半月板が手術後に修復されることがあります。修復された軟骨は正常の関節軟骨よりは機能的に劣るとされていますが、4−5割くらいの患者さんでこのように修復がおこるとされています。
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(欠点)
術後の痛みの回復スピードが人工膝関節置換術に比べると遅い
術後1-2ヶ月くらいまでは歩行時に軽い痛みや重だるい感じがあります。時間とともにこの痛みは軽快します。

骨を切った部分が治るまでに時間がかかる(6ヶ月程度)
レントゲンで骨切り部分に新しい骨が認められるようになるまでに2-3ヶ月かかります。大部分の骨ができるまでに6ヶ月程度はかかります。本格的に運動や重労働ができるようになるのは骨が十分にできてからになります。日常生活動作(歩行、自転車など)は退院後可能です

固定に使用するプレートの違和感
骨切り部が完全に治れば固定材料を抜去することをお勧めしています。通常、手術後1-2年で抜去します。

・高位脛骨骨切り術の適応

変形性膝関節症
・変形の程度が軽度から中等度で、病変が主に内側であること(レントゲンとMRI
による詳しい評価が必要です)
・膝の動きが良い(膝の伸びが悪い、曲がりが悪いときはお勧めできません)
・活動性が高い(スポーツをする人、仕事でよく動き回る人)
・年齢による制限はありません

膝関節骨壊死症
・この疾患は損傷する部位が限局的(膝の内側)にあることが多いので、この手術の非常に良い適応になります。

・骨切り術の種類

膝の変形の程度や、お皿の軟骨の損傷の程度により、骨切り方法を選択します。大きく分けて①内側開大型(open wedge)と②外側閉鎖型(closed wedge)があります。当院ではどちらの方法も選択可能です。また、膝の変形によっては大腿骨遠位骨切り術(膝の上で太ももの骨を骨切りする手術)も選択、あるいは併用されることがあります。

・骨切り術後、退院〜社会復帰

・当院での入院期間はおおよそ4週程度です。元々の活動性などによって期間は変わります。退院後も注意深くリハビリテーションを行うことをお勧めします。
・自転車の使用はエアロバイクでの膝の運動がスムーズに行えていて、骨切り部の経過が良好であれば許可しています。おおよそ術後2ヶ月程度です。
・軽い運動(ゴルフやハイキング)は骨切り部に骨ができ始めると許可しています。おおよそ術後3ヶ月程度です。
・骨切り部が新しい骨で埋まれば、運動制限はしません。あらゆるスポーツ・労働が可能になります。早い患者さんで術後6ヶ月程度、平均9-12ヶ月で可能となることが多いです。
・プレートの違和感がある場合、骨切り部の骨癒合が完成していれば抜去可能です。おおよそ術後1-2年で抜去することが多いです。また、抜去する手術の際には関節鏡を行い関節内の状態を確認します。傷んでいた軟骨が治っていることもあります。

膝関節温存外科部門 学会活動報告

2018年
6月 日本関節鏡・膝・スポーツ学会(JOSKAS)にて口演:演題名「高位脛骨骨切り術後骨切り部におけるLIPUSの骨癒合促進効果」(平松)
7月 第7回Knee Osteotomy Forumにてポスター発表:演題名「高位脛骨骨切り術後骨切り部におけるLIPUSの骨癒合促進効果」(平松)
8月 5th Korea-Japan Knee Osteotomy Symposiumにて口演:演題名「Synostosis Accelerating Effect of Low-Intensity Pulsed Ultrasound (LIPUS) at Osteotomy Sites After Open Wedge High Tibial Osteotomy (OWHTO)
(平松)