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整形外科

整形外科~今後更に広がる守備範囲~

seikei_img01日本整形外科学会は運動器の障害による要介護の状態や要介護リスクの高い状態を表す新しい言葉として「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」を提唱しております。
これからも推測されるように、今後 医薬・医療の進歩のみならず、人口の高齢化や、リハビリテーション、福祉など関連分野の進歩により、整形外科はますますその守備範囲を広げつつあります。
また、意識の向上により、さらにQualityの高い生活が求められ、整形外科の担う役割も大きくなっています。

例えば、骨粗鬆症に伴う橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折、大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折の増加は社会的問題とさえされています。
以前であれば橈骨遠位端骨折や上腕骨近位端骨折は保存的(手術などを行わない)治療が選択される場合が大半でありましたが、近年では「ロコモティブシンドローム」に陥らないためにも外科的に骨折を治療し速やかな社会復帰を目指す傾向にあります。

また骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折の場合は、近年めざましい進歩を遂げている骨粗鬆症治療薬を駆使することで、早期の症状改善を目指すことも可能となってきております。
一方、小児の手足や背骨の変形、骨関節結核、交通外傷、労働災害からはじまった整形外科は100年の歴史を数え、これまでにさまざまな診断、治療の柱を築いてきました。
これらの歴史を理解したうえで、新しい治療方法を取り入れる「温故知新」の心をモットーに運動器の機能の維持・改善を支援することを当科は目標としております。

整形外科治療3つの柱

seikei_chiryo当整形外科の治療は、
①運動療法 ②薬物療法などの保存的治療と、
③手術療法を柱としております。

運動療法

illust007関節の動きが悪いからといって、ただ漫然に関節を動かすのが運動療法ではありません。まずは関節の痛みや動きの悪さの原因が関節そのものにあるのか、それとも関節を動かしている筋肉にあるのかを、触診やレントゲンなどの画像所見をもとに判断することが大切です。
正確な診断をもとに、関節機能解剖学を熟知した理学療法士・作業療法士を中心に関節機能改善と筋力増強を行い、関節の動きや痛みの改善を行うのが運動療法です。
温熱療法 牽引療法 電気療法(SSP)等の物理療法も治療の選択肢の一つです。

薬物療法

薬物療法といっても幅広く全て列挙することはできませんが、代表的なものをご紹介します。

非ステロイド性消炎鎮痛薬

炎症を抑えて痛みを和らげる薬の代表で、ボルタレンやロキソニンが含まれます。
皮膚・筋組織・内臓器などに対する外的刺激・損傷・炎症によって起こる痛み、外科的治療による疼痛などによく効きます。
しかしながら、これらの鎮痛薬だけでは十分対応できない痛みがたくさんあります。
頚椎や腰椎の加齢・変性からくる神経痛(頚椎症性神経根症や坐骨神経痛など)、糖尿病性神経障害や四肢の切断後の幻肢痛などの神経障害性疼痛は、非ステロイド性消炎鎮痛薬が効きにくく鎮痛補助薬が活躍する代表的な痛みです。以下に鎮痛補助薬の一部を紹介します。

抗てんかん薬

難しい話ですがナトリウムチャネル遮断、カルシウムチャネル作動、GABA系賦活などによって効果を示します。
てんかん発作に対してつかわれてきた薬ですが、帯状疱疹後神経痛や末梢神経性疼痛に絶大な威力を発揮します。知覚異常を伴い、「電撃痛」、「電気が走る」、「しびれる」、「焼けるような」といった神経障害性疼痛治療に有効です。

ステロイド薬

ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)は強力な抗炎症作用と抗浮腫作用によって各種炎症性疼痛を軽減します。すなわち炎症による疼痛や炎症性浮腫や組織膨化によって誘発される疼痛に絶大な威力を発揮します。
「ステロイドって怖いのでは?」というお声をよく耳にしますが、整形外科の疼痛緩和目的では、短期間しか使用しませんので心配ご無用です。
ほかに関節リウマチなどの膠原病疾患、炎症と疼痛を伴う神経疾患、脊髄損傷など神経損傷急性期にはステロイドが大活躍します。

骨粗鬆症と関節リウマチの患者様に対しては、上記の他に特徴的な治療薬がありますのでご紹介します。

骨粗鬆症の治療薬

ビスフォスフォネート製剤

破骨細胞に働くことで骨吸収を強力に抑える薬です。毎日服薬するタイプのアレンドロネート(フォサマック)や1週間に1度(アクトネル)のタイプのものも利用できます。
この薬の欠点は、食後に服用すると吸収が極めて悪くなること、および食道に留まると潰瘍をおこす危険があることです。
そのため、起床時に服用しその後30分以上は食事を摂らない、また横にならないよう注意する必要があります。
また、1ヶ月に一度注射するタイプのビスフォスフォネート製剤(ボンビバ)も発売され内服が困難な方におすすめさせていただいております。

ビタミンD製剤

ビタミンDは骨吸収を抑え、骨形成も刺激する働きを持ち日本で最も古くから骨粗鬆症に対して用いられてきました。昔から使用されているのは活性型ビタミンDと呼ばれるアルファカルシドール(アルファロール)です。
この薬では骨密度の増加はビスフォスフォネートに及びませんが、骨折を予防する効果は明らかです。
2011年4月に、活性型ビタミンDの副作用(高カルシウム血症など)の危険性を減らし、骨への作用を強くする薬としてエルデカルシトール(エディロール)が新たに発売されました。この薬は今までの活性型ビタミンDよりも骨密度を増加させ、骨折を抑えることが試験で証明されました。今後使用される頻度が多くなると考えられます。

女性ホルモンとSERM

女性が閉経を迎えるとエストロゲンが減少して骨吸収が増加するために骨の量が低下することはよく知られています。
ホルモン補充療法でみられる性器出血、子宮体癌、乳癌などの発生を予防するために、選択的にエストロゲン作用またはそれに反する作用を示すSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)が開発されています。
多く使われているのはラロキシフェン(エビスタ)で、骨や脂質代謝にはエストロゲン作用を、子宮内膜や乳腺には抗エストロゲン作用を示します。この薬でも背骨の骨折を防止する効果と骨密度が増加する効果が証明されています。

副甲状腺ホルモン(PTH)

PTHが常に過剰に分泌されている副甲状腺機能亢進症では骨量が減少しますが、連日皮下注射で投与すると逆に骨の量が増えることが示されました。
いままでの薬は骨吸収を抑えることがメインになっていることがほとんどですが、この薬は芽細胞を活性化することにより骨形成を高める働きをします。
当院で現在使っているのは、1週間に一度の皮下注射のタイプのテリパラチド(テリボン)で、胸椎腰椎多発圧迫骨折などのかたに積極的に使用しております。

関節リウマチの治療薬

抗リウマチ薬(DMARDs)

抗リウマチ薬(DMARDs)は、関節リウマチの原因である免疫の異常に作用して、病気の進行を抑える働きがあります。現在の関節リウマチ治療の第一選択薬は抗リウマチ薬です。
しかし、一般に効果が出るまでに1ヵ月から半年くらいはかかるため、消炎鎮痛薬を併用することもあります。
効果が不十分な場合には複数の抗リウマチ薬を併用したり、他の抗リウマチ薬に切り替えたりすることがあります。代表的な抗リウマチ薬(DMARDs)はMTX(リウマトレックス)です。
MTXは抗リウマチ薬のなかで最も確実に効果のでる薬ですので、リウマチのごく軽症の方や強い肝障害、肺疾患のある方、妊娠を考慮されている方などを除き、非常に有用な内服薬で当院でも積極的に使用しております。

ステロイド(プレドニゾロン)

以前は抗リウマチ治療の中心でしたが、最近では長期的なステロイドの内服は骨粗鬆症、糖尿病や免疫力の低下など副作用も大きいため最小投与量にとどめるように心がけています。

生物学的製剤

リウマトレックスを中心とするDMARDsの治療で充分に病勢のコントロールが出来ない場合、出来るだけ早期に生物学的製剤を導入する場合があります。詳しくは直接医師にお問い合わせください。

手術療法

illust008骨折の患者様や、運動療法・薬物療法で症状の改善が見られなかった患者様に対しては、手術療法をお勧めしております。
脊椎手術や特殊な手術を除き、外傷(骨折)から変性疾患まで幅広いニーズにこたえるべく奮闘しています。
「大きな病院で全然知らん先生に手術してもらったけど、術後のリハビリもしてくれない…」という患者様のお声を聞くことがあります。このようなお声に応えるべく「当院で手術を行ったあと当院でリハビリテーションを行い、長期的に術後の経過を患者様と対話をしながら診させていただく」当院完結型の整形外科手術を目指しております。

当院で行っている代表手術例

上肢 下肢

骨折各種
(上腕骨近位端、上腕骨骨幹部、肘関節、手関節、指骨等)

伸筋健、屈筋健断裂

ばね指、手根管症候群、肘部管症候群
(日帰り手術に対応しております)

肩関節、肘関節人工関節

骨折各種
(大腿骨頸部、大腿骨転子部、大腿骨骨幹部、大腿骨顆上骨折、膝関節内骨折、脛骨骨幹部、足関節、足部)

股関節、膝関節人工関節

膝関節関節鏡手術

アキレス腱断裂

皮膚・皮下腫瘍(良性)

骨軟部腫瘍
(基本的には良性の手術に限ります。悪性が考えられる場合大阪大学医学部整形外科腫瘍クリニックおよびその関連施設に紹介させていただきます。)

転移性骨腫瘍
(四肢における転移性骨腫瘍に対する腫瘍用人工関節置換術にも対応、まずはご相談ください)

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